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「…その話は本当なんだな?」
「本当じゃなきゃ、叔父を殺そうなんて…」
「君が彼女を救いたいのは判る。だがそのために君まで人殺しのバケモノになったんじゃ、本末転倒だ。違うか?」
「……はい…」
「その、竈門さんを束縛している男の顔名前は判るか?写真とか…」
「店を出る時にちらっと見ただけだから…あ、でも、会話の録音はしました」
「聞かせてくれ」
慎が携帯電話を取り出し、録音を聞かせると、保元の顔色は見る見るうちに変わり、保元も懐から携帯電話を取り出した。
「もしかしてこの声は、こいつか?」
そこには、忘れようと思っても忘れられない男の写真があった。
「こ、こいつです!間違いありません!」
「凄い偶然だな…俺はこいつをマークしているんだ。慎君、大変申し訳ないのだが、竈門さんを囮にしてもいいか?金はこっちで用意する。君はバケモノにならなくてもいいんだ。全部こっちでお膳立てしよう」
数年後、楓は国内外の数々の賞を立て続けに受賞する偉大な画家となり、傍らには、楓の創作活動を陰に日向に支える慎の姿があった。
The End.
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