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手術が終わって大泉さんが運ばれてきた。
顔色が真っ青だった。
そのまま病室に行くようだ。
どうしたらいいのか迷っていると、
医者が出てきた。
「ご家族の方ですか?こちらにどうぞ。」
言われるままに、医者の後について行った。
椅子を勧められ座ると、パソコンの画面を見ながら、説明が始まった。
「犯人と揉み合った時に右の下腹部を深さ5センチほど刺されました。
傷は、筋層と腹膜を破りました。
腹腔内に出血があった為、洗浄しましたが、幸い内臓は、傷ついていませんでした。
ナイフが汚染された物と見て、抗生剤を投与して炎症を抑えます。
傷が治って炎症がなければ10日ほどの入院になります。」
「…」
「奥さん、大丈夫ですか?」
医者に言われ我にかえった。
「命の危険はないんですか?」
「今の所、その心配はありません。」
ほっとすると、後ろから声が聞こえた。
「先生、有り難うごさいました。」
多田刑事だ。
「さすが、刑事さんですね。
筋肉が半端なかったですよ。
鍛えていたおかげて大事に至りませんでした。」
二人は、和やかに話しをしていた。
多田刑事が私を見た。
「真美さん、すみません。売店が閉まる前にお願いできますか?」
入院のパンフレットを渡された。
「501号室ですから。」
狐につままれたように、売店に向かった。
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