大泉の苦悩

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大泉の苦悩

5日ほど前に捜査の合間に病院を訪れた。 真美さんの部屋の前でノックをしょうとした時、中から男性の声が聞こえた。 「真美、すまなかった..俺は本当に馬鹿だった…」 そうか、別れたご主人だ。 そうだな。 彼も理恵の被害者だった。 近所では、良いご主人だったと聞いていた。 元に戻るいい機会かもしれない。 子どももいることだし、彼が本当の父親だ。 俺の出る幕じゃない。 俺と違って、優しそうなイケメンみたいだし… 諦めよう。 いい夢を見せてもらった。 家族ごっこは、楽しかった。 もう、ここに来るのはやめよう。 夜の廊下に大泉の靴音がひびいた。 それから、病室を訪れることはなかった。
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