渡る世間のモンスターたち

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「モンスター」  「モンスターちゃん」  「うっわ、なにあの体。化け物みたい」  店長や同僚、社長、客。みんなが宇美を馬鹿にする。痩せたい、太りたくない、けれども体重は増える。食べることは止められない。  今日は重たい荷物を一人で任された。同僚から、「モンスターは力もあるんだねぇ」などと面を向かって言われた。  昨日は小煩い客の対応をさせられた。あのクレームはしばらく響くだろう。  明日は商品の納品があるから、その対応もしなければならない。あそこの納入担当は、宇美を見る度「今度は何キロ増えました?」などと聞いてくるのだ。  心が空く、お腹が空く。飢える、飢える、飢える。  ポテトチップスの塩気、クッキーを噛みしめた時のほろほろ感、肉まんの肉汁の甘さ、ハンバーガーのボリューム。どんなにお腹が膨れても、舌は味を求め、心は足りないと泣き叫ぶ。そしてお腹が空く。  膨れても、膨れても、空く。  食べる、食べる、食べる。止められないのだ
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