飼われ屋さん

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 自分の母親の姿を見る人もいる。同性の友人を望む人も。鳥や獣を世話したいと願っている人もいる。  私たちがどんな姿で現れるかは、君たちの心が決めるんだ。  どんなものと一緒にいたいかという願いに優劣はないよ。一人一人が見るものは、その人にとって、その時、何よりも必要なものだから。  けれど君は、こういう私を望んだ。  君が好きになったという相手とは似ても似つかなくて。  君を守り導いてくれる立場ではなく、一方的に弱い存在でもない。年齢。背丈。活動的な服が似合う体型。そして、何もしないでも整っているわけではなくて、メイクをすれば映える可能性のある顔立ち。  君は、いつでも私と対等な立場で、一緒に幸せを探してくれた。それが君の願いだったんだろう。  だから、君は大丈夫だ。  うちの店には、私たちを必要としていて、そしてちゃんと世話のできるような人しか辿り着けないようになっている。けれども、まあ、実際に会ってみると色んな人がいる。私も、この仕事をしているばかりではないから、色々なことに遭う。  時には残念な思いをすることもあるけれど……でも、君のような人間がいることを知れて良かった。  ありがとう。私に優しくしてくれて、とても嬉しかったよ。
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