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飼われ屋さん
「お金さえ払えば、望み通りの姿をした従業員が自宅を訪れ、お客様は契約の続く限りその世話をすることができる」それが弊社のサービスだ。
お金を払えば世話をしてくれる——ではない。お金を払って、なおかつ私の世話をしろ——そう言って現れた私に君が驚いたのは無理もないことだった。
だから……そんな顔をするな。
君がうちの店を訪れたのは、同僚との飲み会の帰り道だと言っていた。
あまり楽しい思いはしなかったようだな。
女性を好きになり、その結果としてこっぴどい目に遭ったばかりの君は、聴いてほしかったわけでもないその体験を引き出された挙句「駆け引きができていない」「結婚すればもっと大変」「自分なんかもっと」……そういった言葉を聞かされるばかりだった。
「失恋した同僚を慰めるために仕方なく付き合う」という妻や恋人たちへの大義名分を得た彼らに、お金を払えば女性が楽しいことをしてくれる店へと連れて行かれた君は、ほとほと嫌になって抜け出した。
そうして、楽しくもないのにさんざん胃に流し入れたお酒が回った頭で、君はうちの店に出会ったんだ。
次の日から私がこの部屋にやって来た。
前の晩に契約したことを君はよく覚えていなかったから、何かの間違いか、あるいは騙されようとしているのかと疑ったな。
でも、自分が契約した証拠が次々と出て来るのに連れて段々と思い出してきて、支払ってしまった分はサービスを受けてみようかと、私を部屋に上げてくれた。
まあ何より、本当に自分の望み通りの容姿の女性が来たわけだからな。ふふん……ただしジャージ姿でな。
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