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十四 巨人 -2
宝珠が閃光を放つ。
すると巨人の右肩の辺りが丸くポッカリと欠けた。
もう一度。
今度は脇腹が抉られる。
「蓬子っ!」
だが光の巨人は怯む様子もなく、欠けた部分はすぐに金色の光で満たされて、あっという間に元通りになった。
恐らくあの巨人は蓬子自身の化身という訳ではなく、光の壁と同様に金色の靄を操って造った人形のようなものなんだろう。
大した痛手では無かったようでホッとしたが。それにしても、心臓に悪すぎるぜ。
今度は、巨人が腕を振り上げる。
そして再び龍神が襲い掛かって来ようとしたところを、思い切り殴り付けた。
龍神は光の海の中に倒れ込み、その衝撃で二体の周りに大きな水飛沫が上がる。
互角……。
あいつ、本当に龍神と真面に渡り合ってやがる。
龍神はすぐに立ち上がりはせず、代わりに巨人の周りをぐるりと一回りした。
そしてその長い胴で巨人に巻き付き、締め上げようとする。
さすがの巨人もこれには為す術がないかに見えたが、締め付けられると同時にその姿が幻のように崩れ去り、別の場所に再び形を成した。
「ゴオオオオオオッ……!!」
龍神は怒り狂い、その大きな顎で巨人の腹に喰らい付く。
胴の部分が丸ごと咬み取られ、分断された胸から上の部分は一瞬その場に留まったが、すぐに霧となって消えた。
続けて宝珠がバババッと連続して閃光を放ち、残った下半分を一気に消し去る。
龍神は勝ち誇ったように頭を振りながら、再び咆哮を放った。
「ゴアアオオオオオオォォ……!」
その頭を、再び姿を現した金色の巨人がガシッと掴み取り、力づくで地に押し付けようとする。
龍神が激しく抵抗する。
巨人はその頭を上から殴り付け、龍神は巨人の拳を咬み千切る。
なんだこの戦いは……。
まるで子供の喧嘩じゃねえか……。
駄目だ蓬子。
そんなやり方じゃあ、龍神を抑えるどころか余計に怒らせるだけだ。
それに、今はなんとか互角に戦えているように見えるが、龍神の力の源がこの大地そのものだとするならその力は無限だ。いくら蓬子の力が強大だとはいえ、こんな戦いをそういつまでも続けられるはずがねえ。
どうする、今の内に次の手を考えて置かねえと。
だがあれをどうにかする手立てなんて、何も思い付かねえ。こうなったら、村の連中を少しでも遠くへ逃がすことくらいしか……。
くそおっ……!
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