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昨日の雪が嘘だったかと思うほど、今日の空は眩しかった。起きてすぐカーテンを開けた時の目の痛みが、今も続いている気がした。
朝起きてすぐ、僕は両親の死の記憶をわざと蘇らせた。昨日の玉井さんの言葉で生きることに前向きになれた気がしたからだ。
しかし現実は厳しく、あの日の景色や空気、匂いといった負のピースは僕の心を容赦なく突き刺した。痛む胸を押さえながら、晴れた空に声を投げかけてみる。
「あなたたちのいる空はどこですか」
自分でそう言って後悔する。胸が重くなる。悲しみがあふれて、晴れた空を曇らせてしまう気がした。
いつまでこんな弱弱しい自分でいることになるのだろうと心の中で嘆いた。
それでも僅かだが、やはり一歩前に進めたのだなと思う。隠していた過去ともう一度向き合うことができたのだ。
そして、死に対する意識が薄くなっていった。それは決して完全に死にたいと思わなくなったのではなく、死から目をそらすことが上手くなっただけのことであると思うが、まだそれでいい気がした。
雪の降る日に、黄色いライオンが吠えてくれたおかげで、生きたいと思える瞬間が少しずつ増えていった。いや、増えたというよりは戻ってきたという方が正しい。
ご飯を食べること、冷えた体をシャワーで温めること、眠い時に眠ることといった小さな物事の楽しみが少しだけ息を吹き返した。僕は玉井さんから温かい力をもらえた。
ようやく山猫から子ライオンに進化できたかもしれない。そう思うと、背筋が熱くなる。少しだけ彼女に近づけた気がした。
『夢に向かって一歩近づける出来事があるかも』『ラッキーカラーは白』
テレビの画面に映し出された十二星座の一番上に獅子座があった。それを見た僕は僅かに心を躍らせた。少し前の僕にはあり得なかったことだ。小さな喜びを感じることができた。ただ、夢など何もない僕にとって、その占いは少しだけ痛かった。
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