嘆きの心臓

１

「俺のグラスに入ってても、お前のなのかよ？」
「欲張っては なりません」

ミカエルだけでなく、四郎にも注意を受けた ロキは、「欲張ってない！キウイだけだから」と
訳わからん言い訳で 誤魔化そうとする。

「キウイなら、ロールケーキにも入ってるわよ」

「じゃあ、全部 俺のだな」

「ふざけんなよ、ロキ！」
「オレのに決まってるだろ？」

ルカとオレの参戦により、まいった顔になった
沙耶ちゃんは、小さい ため息をついて
キッチンへ戻って行く。

「お前等、やめろよ。
草水ばっかり出たら どうするんだよ？」

ミカエルが、ブロンドの眉をしかめて
よく分からん心配をするのにも 小さい訳がある。

今日は予(あらかじ)め『昼過ぎに、店 行って大丈夫？』と
連絡してから来たんだよな。

世界樹(ユグドラシル)から戻って二日。
けど、海の洞窟から バリ島に出て
六山内に戻って来るまでだと 二週間経っていた。