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栗林が苦手だそれと……
今年の冬は例年より暖かかった。昼間なんて二月だというのにコートいらずの日もあるくらいだ。まあ、それは大袈裟だけど。
マフラーも必要ないくらい暖かくて過ごしやすい冬。なので、俺の心も穏やかだ。
学校へ向かう道を軽やかな足取りで歩いていると、せっかく明るい気分だったのに、目の前に、アイツがいた。肩にぎりぎりにつく髪の毛がゆらゆら揺れている。
俺はアイツと話すのも面倒なので歩くペースをゆるめた。
ゆるめたのに。
アイツは突然振り返った。そして、俺を見て、「丸中百助君おはようございます」ととびきりの笑顔で微笑んだ。
「おはよう、栗林百子さん」
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