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第114話 祝福の宴
その日、宮廷には多くの貴族が集まっていた。
国民に愛されるルイス王子と、その王子が愛するライラ様の婚約発表のパーティーが開かれるからだ。
王子とライラ様の婚約はとんとん拍子で進んでいった。
ライラ様が気にしていた「自分は次女だから」という懸念も、レイチェルお嬢様自らが身を引いたことで円満に解決することとなった。
もともと貴族社会でも評価の高かったライラ様だ。宮廷の中でも反対する者はいなかったと聞く。
「綺麗ですね、ライラ様」
「ええ」
多くの貴族が見守る中、ライラ様は微笑んでいた。
上品な桃色のドレスはスカート部分に白いチュールが幾重にも重ねられて優しく揺れていた。胸元部分には白い糸で細かな花の刺繍がされている。このパーティーの主役に相応しい出で立ちだった。
丁寧に編み込まれた栗色の髪に、王子がティアラを載せた。
あちこちから上がる祝福の声。
王子とライラ様は手を取り合ってダンスホールの中央に進み出る。二人とも、幸せそうに微笑んでいた。
奏でられる優雅な音楽にあわせて、お披露目のダンスが始まった。
会場にいる令嬢たちから、羨望のため息が聞こえる。
「婚約発表でこの祝福ぶりでは、挙式当日の想像ができんな」
「パッサン卿。いらっしゃっていたんですね」
お嬢様が目をぱちぱちと瞬かせた。
祝いの場には似合わない無愛想な顔をしたパッサン卿がそこにいた。パッサン卿の後ろから「私もいますよ」とエマが顔を出す。パッサン卿は体が大きいから、小柄なエマはすっぽりと隠れてしまうようだ。
「殿下直々に招待をされたので、さすがのじっちゃんも断ることができなかったんです。普段だったらこういう場所には絶対来ないんですけどね」
パッサン卿はふんっとそっぽを向いた。
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幕引きまであと2話
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