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俺の好きな色……?
藍色か白色か……鴇色とか?
「……んーと、恋の色?」
「あ、結局セコい」
……確かに。
「んー、でも、だいたい合ってる」
「ふうん」
「私ね、忘れられてたこと、結構怒ってる」
“結構怒ってる”が、可愛すぎる笑顔で。
「俺も、もったいなかったなって、思ってる」
俺がそう言うと、彼女は繋いだ手に力を込めて、ふふっと笑った。
もったいなかった。あの頃の友達もガールフレンドたちも、ちゃんと見てれば各々の色があって、もっと楽しくて……もっと華やかで……世界はきっと……
「ね、答え合わせ、しようね」
…………うん。
彼女の手を強く握り返し、お互いの手はすぐに同じ温度になった。
真生が、灰色だった過去にまで色をつけてくれた。
これからは、彩りのある世界で……手を繋ぐ。
……何色なんだろな。ぱ……
多分、俺の脳内の色かな?
希望を言うと……
何色でもいい。
「ほんと、時くん明るくなったよねぇ」
真生がもう一度、小さくそう言った。
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