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野島家の最寄りのコンビニで、アキラは待っていた。
「お疲れっす」
適当な挨拶を寄こして、アキラがコンビニを親指で指した。
「先に夜ご飯買っていきましょうよ」
「緊張感ないな。いつ動きがあるか分からんのだぞ」
俺も腹が減っていたので異論はなかったが、一応先輩らしく小言を言っておく。しかし、アキラは全く聞こえなかったのか、聞こえたが無視したのか、反応すらせず店内に入って行った。
「……」
馬鹿らしくなって、俺もアキラに続く。
弁当コーナーで真剣な顔で吟味しているアキラを横目に、俺はビールを何本かカゴに放り込んだ。そのまま、つまみは何にしようか考えていると、後ろから手が伸びてきた。
ビールを取ろうとしたらしい手は、どうやら届かなかったらしい。
俺が振り返ると、三十代くらいの車椅子に乗った男性が、腕を伸ばしていた。
「あ、すみません」
俺は慌てて、場所を譲った。男性は更に腕を伸ばしたが、届きそうになかった。
「あ、どれですか?取りましょうか?」
俺が伺うと、男性ははにかみながらビールの銘柄を言った。
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