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話し掛けてくれる男子
「ねぇねぇ、伊坂さんって好きな人っていたりする?」
「えっと......いない、ですけど。どうしてですか?」
放課後の教室でクラスメイトが残っているなか、いきなりそんな声を掛けてきた金見に面食らい、きょとんとして否定した。
「いやぁ、なんて言うの......ごめんっ!無神経過ぎたよね?だから付き合えないよなぁ~こんなんだから。アハハ......って、ごめん」
気まずそうな表情を浮かべてから両手をあわせ、謝りぶっちゃけたことを言って、小さく笑った彼。
「えっ?金見くん、付き合ったことないんですか?意外です。かっこいいのに」
思った通りに伝えると、そうかな?と自信なさげに小さく笑いながら聞かれた。
「えっと、好きな人のことは無神経かと思いますけど......人当たりが良いですし、容姿のことをはなに掛けたように感じさせなくて......って、ごめんなさい。では──」
言い終えて、その場から立ち去ろうと足を踏み出すと彼が手首を掴んできた。
「待って、伊坂さん!」
「何ですか?」
「嫌じゃなければだけど、一緒に帰りたい......んだけど、ダメかな?」
「ダメってことは......良いですよ、一緒に帰るの」
「ありがとう。伊坂さん」
金見と下校することになった。
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