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プロローグ Act.01
むかしむかし、あるところに、たかいたかいとうの上にすんでいる王さまがいました。
とうの上にすんでいるから、王さまはずっとずっと一人でした。おきさきさま、おうじさま、おひめさま、けらいもいません。ずっとずっといません。王さまも、たかいたかいとうから、おりることも出来ませんでした。
なぜなら、王さまはとうの中では、まほうつかいの女王さまがいて、下のけらいたちや、みんしゅうたちに会うことをじゃまされていたからです。
王さまは一人で、ずっとずっと考えました。
「もし、わたしを助けることが出来るものがいるならば、それはまほうつかいの女王とたたかい、まほうで勝てるものでしかないだろう。
そうだ、みんしゅうたちの中でまほうが使えるものをさがして、そのものが女王をたおせればよいのだ。
よし、とうの下にいるわたしのなかまに、ふれを出そうではないか。そうだ、そうしよう」
王さまは、自分は使えないけれど、まほうつかいなら使えるという、まほうのけんといっしょに、いっしょうけんめいに王さまが考えた文しょうを書いたおふれの紙を、けんにくくりつけて下に落とすことにしました。
王さまは、たかいたかいとうの上にわずかにあいていたまどから、まほうのけんをおとしました。
ヒュ——ッ!
どうかどうか、わたしのなかまにこのおふれが届いておくれ。王さまはまほうつかいのさまに見つからないように、心の中でいのっていました。
まほうのけんはじめんにつきささりましたが、まほうつかいの女王さまが、そのことに気づかないわけがありませんでした。
まほうつかいの女王は、とうの一ばん上にある、王さまのへやをゆうへいして、外に出られないようにしてしまったのです。
さて、下では王さまがひっしで考えたおふれをくくりつけたまほうのけんは、ぶじ王さまのなかまが手にすることができたのでしょうか。
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