プロローグ Act.02

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プロローグ Act.02

 答えは……、出来ませんでした。  まほうつかいの女王が、王さまの家ぞくや親せき、けらい、王さまをしたうみんしゅうたちを、一人のこらずころしてしまったからです。  それでも、女王はまほうのけんとおふれをうばおうとしました。でも、うばえませんでした。  じつは一人のわかものが、だれにも知られずに、まほうのけんとおふれをもちさっていたのでした。  わかものは、おふれをよみました。よんで、一人、長い間考えました。 「わたしが知っている人の中には、まほうが使える人なんているわけがない。どうすればいいのだ」  わかものは考え、思いつきました。 「そうだ、さがして見つからないなら、まほうつかいにだれでもなれるようにしたらいいんだ。そういったものを作ればいいんだ。  でも、どうしたらいいんだろう。わからない……」  わかものはなやみました。 「どうやったらそんな『まほうつかいの作り方』なんてほうほうを見つけることが出来るのか? わたしにはまほうなんかわからない……。  そうだ、だったら『まほうつかいの作り方』をさがしに行こうではないか。分からないというのなら、調べてもいいじゃないか。やってみないと分からないではないか。  ここで考えていても仕方がないじゃないか。よし、行こう。さがしに行こう」  こうしてわかものは、たかいたかいとうの中に住んでいる王さまをたすけるために、王さまのくにを出て『まほうつかいの作り方』を見つけに行くために、たび立って行きました。  こうして、王さまのくにには、王さまがとじこめられている、たかいとうがのこされました。  まほうつかいの女王にころされなかった、国のみんしゅうたちは、一人のこらずくにを出ていってしまいました。  王さまをしたうものは、まほうつかいの女王にすべてころされてしまっているので、一人ものこっていませんでした。  さびれてしまった王さまのくには、もりにのみこまれてしまい、あとは、たかいたかいとうがしずかにたたずんでいるだけになりました。  とうの中は、じかんがながれることなくとまったままで、一ばん上にとじこめられている王さまと、とうをしはいしている、まほうつかいの女王さまがいるだけになりました。  そとのじかんがながれているなかで、とうの中はじかんがとまったままで、いくたのとしつきがながれていきました……。    気を付けなされ、気を付けなされ……。    王さまのくににうかつにはいって、たかいたかいとうを見たら、とうの中から、まほうつかいの女王にころされてしまいますよ。  せめて『まほうつかいの作り方』を見つけたわかものがくにに戻ってくるまでまちなさい……。  気を付けなされ、気を付けなされ……。  でないと、ころされてしまいますよ……。  
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