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夜の帝国、その皇帝――吸血鬼の王である男の名はアルビレオ。
闇がそのまま抜け出したかのような黒髪と黒曜石の瞳は夜の王の二つ名に相応しいだろう。
そして彼は今、客人と対面していた。その人物とは、王国の使者であるクレアだ。
吸血鬼の王と、人間の姫が向かい合って座る。出されたお茶は血のように赤い。
ハイビスカスとローズヒップのブレンドハーブティーだ。
「悪趣味」
ぼそりと呟いたのは勿論クレア。
出されたお茶に口をつけることなく、目の前の男を睨んでいる。
そんなクレアに腹を立てることなく、余裕の表情でアルビレオは笑っていた。
「乳離れしたばかりの子供に洒落たお茶は早かったかな」
嫌味には嫌味で返す。それにカチンと来たのか、クレアはティーカップを手にとって一気に飲み干した。
それには流石のアルビレオも目を丸くする。
「……まあ、悪くないわね」
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