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「…んぅ〜?ん、‥」
誰かに肩を揺さぶられていることに気づき目が覚める。
目の前には黒髪の若い女性。
どういう状況かがうまく把握できず、ただただぼんやりと壁にかけてある時計を見つめる。…?えと、じゅうい…t
バチィンッ!
頬に痺れるような衝撃が走る。
平手打ちだ。
打ってきたのはおそらく目の前の女性。
結構普通に痛かった。なぜそんなことをするのか、なんて聞く前に
女性に睨まれていることに気づいた。
そして同時に
今自分が何故睨まれているのかを察してしまった。
先程まで寝ぼけていたのが嘘かのごとく脳が一気に覚醒していく。
そうだ…。準備終わって、えっと確か〜11時にアラームを…
いや、待て。
ならなぜアラームが鳴らない…?
急いでスマートフォンを手に取る、、、がそこに表示されたのは
Error( ᷇࿀ ᷆ )
つまりはバッテリー切れである。
しかし身に覚えがない。
でもまぁ、充電が無いということはもともとバッテリーが少なかったのだろう。こればかりは自業自得だな…なんて少し頭を掻く。
自分が寝坊した理由は大方理解した。
この女性も施設側の人間だから起こしに来たのだと推測する。
女性の視線がどうしても痛い。
う、嘘つくか…?
しかし寝坊は流石にバレている。事実、この女性が来なければまだ起きてはいなかっただろうから。
うん、無理だな。
少し思い切って、ベッドから降りフローリングに頭をつける。
「寝坊してしまい申し訳ありません。今すぐ準備をしますので、少々お待ちをぉ…。」
誠意と謝罪の意を表したくて、私は土下座した。
もっとも、土下座とは言っても細かい部分はわからないのでただ手を前に置き頭を下げただけだが。
今から準備するから待っていろ なんて、考えてみれば本当にただの迷惑であるがいまの自分の頭の中ではこれくらいしか言葉が思いつかなかった。
心臓をバクバクと鳴らしながら必死に地面にすがりついていると
「プフっ」
……笑われた?!
どうしよう。施設の人(仮)に笑われてしまった!どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしy…
「こういう事はよくあるけど、流石に土下座なんてされたのは初めてよ。
確かに時間は過ぎてるし他のメンバーはみぃンな講堂に揃ってるわ。」
当たり前だが遅れたのは自分だけ。
今まで睨んでいたとは思えないほど可笑しそうな、呆れたような顔をされて
さらに恥ずかしさが増していく。
顔が赤くなっていくのを自分でも感じた。
「私ね、ここに勤めてるんだけど度々居るのよねぇ、貴方みたいな子。私は別に怒ってる訳でも叱る訳でもないから安心して。まぁ、貴方が遅れているせいで式は今、一時的に停止してもらってる状態だけど。」
怒っていないと言う割にはかなりグサグサ言っているようにも感じるが事実なのでしょうがない。
「あ、でも今日来てる子達は仮にも貴方と同じチームになる人間なんだから謝っておきなさいよ。」
そして最後に、
「貴方の準備が終わったら講堂に真っ直ぐ来なさい。
今回の寝坊は見逃してあげる。」
そう言って微笑み部屋を去っていった。一瞬少しいじわるな顔にも見えてしまったがきっと見間違いだろう。
何故私なんかを許してくれたのかはわからないが情けをかけてもらえた事にすこしホッとした。
何はともあれ仲間を待たせているのだ。これ以上遅くなったら明日から絶対シカト対象にされる!(芽衣の勝手な想像です。)
シカトされないためにも今はとにかく急がなければ。
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