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ともかく、相手が満足したようで良かった。
そういえば…と顔をちゃんと見れていない事に気づく。
私は男女問わず面食いなのである。
このまま横になっていたいが相手の顔を見たいという気持ちが上回った為、起き上がることにした。ゆっくり頭をあげようとする…と、
「ちょっ!」
多少の嫌悪感が含まれた声が聞こえたような気がするがまぁ、気のせいだろう。
「あ、あぁ〜もう、今起き上がったら危ないでしょ〜?
もう少し休んでたほうが良いよ!今日はもうやる事無いンだしさ!」
ゆっくりと元の状態に戻される。
この一言だけでも漂う姉ちゃん感を感じる。
私としては、顔を見れたので別に構わないのだが。
美薗ちゃんのルックスはこんな感じ。
肩に届くか届かないかぐらいの長さで緩くウェーブのかかったこげ茶色。
片側の髪は耳に掛けている。睫毛の角度は少女漫画の主人公に負けないレベルで綺麗。グラデーションのかかった赤っぽい瞳も印象的だ。
「あ、そうそう!」
美薗ちゃんが思い出したようにパンっと手を叩く。
「私、寮の部屋、飯田さんの隣なのぉ〜!飯田さんてば倒れちゃったから説明聞けてないでしょ?それで…」
結構話が長かったので要約すると、美薗ちゃんは私が隣の部屋だからとついでに今日受けた説明をしてくれると言うのだ。
ん?私がどう答えたかって?
そんなの答えは一つ、yesだ。
ただでさえ遅刻したマヌケなのに、施設で働いてる偉そうな人に全員の眼前でとんだ嘘っぱちを言われているのである。あの時私に再び戻ってきた視線は見事に騙され、私を尊敬しているのが伝わってくるものだった。
あんなに期待させておいてから本当の事を言うという行為は恐ろしくて出来やしない。
だから私は決めた。
これからは、猫かぶりでも何でもいいからか弱い女の子らしさも持ってる、デキる奴的な雰囲気を醸し出していこうと!
だから今も、緊張と同時に起こった貧血で倒れちゃった、少し病弱なワ・タ・シ♡を演じて答えた。
幸い相手にはバレてないようであります。本当、良かったぁ〜。
ホッと一息つくと、溜息とでも勘違いしたのか美薗ちゃんが心配してくる。
必死に弁解しようとしてもしつこく理由を聞いてくる美薗ちゃんに痺れを切らし、ついポロリと本当の事を言ってしまった。
どうしよう、一瞬で塗り固めた嘘が一瞬にして崩れてしまった…!
To Be Continued
(ジョジョネタ)
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