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A BUS、A MONSTER
高齢の男性が市営コミュニティーバスの最前方に座っている。
そろそろ終点のバス停に着くころだ。
今日はなぜか、昔のことばかりが思い出されてならない。
自動運転中型バス開発の担当者に任命されたこと。
国策として開発を急がされ、欧米中の巨大企業と張り合ったこと。
過去の出来事が次々と、フラッシュバックしてくるのだ。
実車での走行試験を終え、路線での実運行試験へと進んだ際は、未だいくつかの問題を抱えたままであった。
開発チームは苦労して、経済性、安全性そして快適性において及第点をクリアする車輌を創りあげた。
さらに定時制を厳守する運行管理システムの開発に成功した。
全自動運転無人運行コミュニティバスは、彼にとって孫よりも可愛い存在であり、誰がなんと言っても世界最高の乗り物だった。
午前10時ちょうど。
5人の乗客と各々の事情、痴漢と変態、傷心の女性と爆弾、そして感染症のウィルスを乗せ、バケモノと化した全自動運転完全無人運行コミュニティバスは中央駅前のロータリーへと入っていく。
(了)
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