長楽萬年

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さくらの耳に届いた男性の悲鳴。 あまり遠くない位置から聞こえてきたように思える。 さくらの目から、スッと涙が引っ込んだ。 (……私の他にも、この森に迷い込んだ人がいるんだ!) 少しほっとした。だが、聞こえてきたのは『助けてくれ』という言葉。 あまりに不穏な言葉に、一瞬足がすくんだ。 (でも、行かなきゃ!) 少々ビビりだが、人一倍正義感の強いさくらは、両脚を手で軽く叩いてから、悲鳴が聞こえた方へ思い切り走り出した。
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