長楽萬年
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しん、とした森の中。 今にも野犬が出てきそうな気配に怯えながら、高校の制服を来た少女———さくらは歩いていた。 両腕で自身の体をギュッと抱き締めて、目にはいっぱいの涙を溜めている。 「ぐすっ……ここ、どこぉ…?」 疲れ切った足元がふらふらとおぼつかないが、なんとか力を振り絞って歩く。 さくらが道に迷い、いつのまにか入り込んでしまった森の中を彷徨い始めてから、かなりの時間が経過していた。
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