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「はぁ……」
幸恵がいなくなった事で、健一は肩の荷が下りる。
いくら幼馴染とは言え、もうお互い高校生だ。
それなのにいきなり男湯に入ってくるなんて、ユキ姉何考えてるんだよ……。
だがユキ姉がいなくなったから、やっと1人に……。
「……あ」
あ、1人じゃない……もう1人いたんだった……。
「……っ!」
健一は咄嗟にもう1人の方、少女の方を見る。
しかしすぐに視界に映ったのは、湯の上にてうつ伏せで浮かんでいる少女の姿だった。
「ああぁっ!おい大丈夫かぁっ!?」
動かない少女を見て必死に慌てながら、少女の身体を担いで急いで湯から出る。
「おい死ぬなよ!絶対に死ぬなよ!」
そして彼女の身体を仰向けに置いた後、すぐに心臓マッサージを始めた。
しかし慌てながらやっている事もあり、胸を押しているのか腹を押しているのか定かではない。
だが押す度に少女の口から噴水の様に水が噴き出された。
するとその時だった。
「ガハッ!ゴヘェッ!」
「っ!」
少女が咳込み始め、健一は心臓マッサージを中断する。
「気付いたか!?」
健一はすぐに表情を確認する。
変わらずに意識は戻ってない……だが先程に比べて呼吸が落ち着いているのが分かった。
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