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すぐに疑問をぶつける健一だったが、その直後に幸恵はあるものを健一に見せた。
それはこの部屋の合鍵……。
「幼馴染の縁という事で、ケン君の部屋の鍵を貰ったのよね」
「俺にプライバシーは存在しないの……?」
その後、ぐったりと肩を落としながらその場で座り込む健一。
そんな健一の様子に幸恵は心配そうに声を掛ける。
「本当に疲れてるのね。一度温泉に入ってスッキリしたらどう?」
「温泉か……考えとく……」
幸恵の提案に健一はそう返す。
するとその後、幸恵は何かを思い出した様に手を叩いた。
「あ、そうそう。忘れないうちにこれ渡しておくわね」
「何だよこれ」
幸恵から渡されたのは鍵。
健一が尋ねると幸恵はすぐに答えた。
「私の部屋の合鍵よ。私だけケン君の合鍵持ってるのって不公平だと思うからこれでおあいこよ。これでもし寂しくなっても、すぐに昔みたいに私に甘える事が出来るわね」
「しねえよ!とっとと帰れぇっ!」
健一は顔を赤らめながら幸恵を部屋から追い出した。
その後、完全に1人になった健一は大きくため息を吐いた。
ったく……どうして俺、あんなユキ姉の事……好きになっちまったんだろ……。
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