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「はいはい。それでも誇りを持たないと駄目だよって言うんでしょ? わかってるもん。便所神だって大切な仕事だってことくらい。でもさぁ、だったらだったで人間たちももっとトイレを綺麗にしてくれたって良くないッ?!」
「あ、あー……うん。えっとね、私が言いたいのはね……」
「え? 何? 違った? あ、そっか。ハニたん、もうすぐ誕生日だっけ?」
「違うよぅッ! もう……。ちゃんと聞いてよ。あのね、ミヅちゃん。私……」
ハニヤス姫が語り始めたのは最近のミヅハの愚痴に関することだった。
いつも便所神と呼ばれ、いたずら好きの神から汚物だとからかわれ悲しい思いをしていること。本当はもっと綺麗な場所で働きたいこと。でも水を清める役目は自分にしかできないから仕方がないこと。
「それでね、私……最近頑張って一人で仕事、できるようになったの」
「え……? ハニたん……? うそでしょ……?」
ううん。本当。などと言いながら下界のトイレを一つ清めて見せてくれるハニヤス姫。
「ほ……ホントだ」
乾いた声で呟いて呆然としているミヅハにハニヤス姫は言った。
「ミヅちゃんッ!! 私ね、ずっと考えてたの。ミヅちゃんはもっと出世できる人だって。トイレの神で終わるなんてミヅちゃんには勿体ないよッ! ミヅちゃんならもっともっとすごい女神さまになれるッ」
「は……ハニたん……。でも……でも、ハニたんは?」
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