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「私はいいの……。だって私、ミヅちゃんみたいに美人じゃないし、要領も悪いし。だからミヅちゃんは私の分まで頑張って出世してッ! ミヅちゃんのために私……この子達と一緒に頑張ってみるから」
ハニヤス姫が腕に抱えた埴輪がピシッと片腕をあげて敬礼すると、彼女の足元にいた十数体の埴輪たちが同時に同じ仕草で敬礼してくれた。
「ハニたん……」
確かに……確かに愚痴を言ったのはミヅハだ。でもだからといって、こんなつもりではなかった。ハニヤス姫に全部を押し付けて自分だけが外の世界へ行くなどと。
「さぁ行ってッ!! ミヅちゃんッ!! じゃないと……ッ、私……私……」
既に泣きかかっているハニヤス姫の気持ちを踏みにじることはできなかった。
「…………わかった。私……絶対立派な女神になって帰ってくるッ!! それで、ハニたんも絶対一緒にそこで働けるようにしてみせるからッ!! そしたらもうトイレの神なんて新人と交代だよッ!」
「ミヅちゃん……ッ」
がしぃ……ッ、と抱き合ってミヅハは力いっぱい叫んだ。
「トイレに女神様などいないって言ってやるんだからッ!!」
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