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◇
意気込んで出てきては見たものの、やはり神界ではどこも彼女を雇ってくれるところはなかった。自分たちまで印象が悪くなりそうというのが言い分で、日本の神界ではミヅハは便所神として既に有名すぎる存在になっていたのである。
とはいえ、トイレの神しかやったことのない彼女が他の神になるには誰かに雇ってもらうなりなんなりして弟子入りするしかない。
「うーーーん……。こうなったら海外移住するしかないかぁ……。将来はハニたんと二人で海外で働くってのも悪くないなぁ。そのためにもまず外国のイケメンの神様に弟子入りするとかもいいよね。外国神の彼氏とかもちょっと憧れるし。でも海外かぁ……私、日本から出たことないし、いきなりはちょっと怖いなぁ……」
悩みながら相談に訪れた先は、黄泉と呼ばれている日本の冥界の冥王、閻魔大王のところだった。
「……というわけで、神界の神はみんな私のことを便所神としか見てくれないんです。冥界なら日本でも私のことを知ってる神もあまりいないだろうし、偏見とかも少ないって聞いたから……」
「なるほどのぅ……」
始めは冥界の仕事は辛いからと追い返そうとしていた閻魔大王も、真剣に相談するミヅハに気圧され、最後には冥界の神を紹介してくれることになった。
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