トイレに女神様などいない!

5/22
前へ
/22ページ
次へ
「あ、できればイケメンがいいです。あと、転職後の海外移住に備えて海外文化にも慣れておきたいんで、ジョニー・デップかトム・クルーズみたいな感じの外国神とかいませんか?」 「………………」  ちょうど長期出張してきている外国神がいたらしく、紹介してもらえることになった。 ◇ 「なるほどねぇ……。それで冥界(ここ)で働こうってわけか。いいんじゃねぇの? そういう上昇志向の女の子は好きだぜ」  そう言って気合の入った顔で笑う銀髪の青年にすっかり見惚れていたミヅハが我に返って頭を下げながら挨拶する。  イケメンなどというレベルではなかった。ヨーロッパ系の芸術的に整った顔には神秘的な物すら感じる。……神秘的というかそもそも神なのだが。  よもや外国の神がこんな彫刻のような顔をしているとは。 「よ、よろしくお願いします……ッ。あの、どこの国の方なんですか?」 「俺の出身はギリシャだ。しっかしなんで日本の神じゃなくて俺のとこに日本の新人が紹介されて来たんだ……? もしかしてついこの前外国(アイルランド)の新人を一人いれたから、そういう奴だと思われちまったかな……」  嫌味ではなく純粋に不思議そうにつぶやいている銀髪の青年にミヅハが訊く。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加