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ダブルベッドの上で仲良く愛し合っている三人の兄弟。そんな兄弟を部屋の隅にあるクローゼットの中から覗いている俺。 こんなところから失礼します。あっ待って、今長男が末っ子に挿れるところだから写真撮らせて。 「あっ……んあぁっ…あおにぃ、はや、く……ッッ」 末っ子の綺麗な声が部屋に響く。その言葉を聞いて、長男は一気に突っ込んでいく。末っ子は身体を跳ねあげ、喘ぐ。 うわ、今の声やばい。シャッター音がしない高画質カメラでパシャパシャと納めていくが録音もしておけばよかったと後悔。 あっ、自己紹介遅れてごめん。俺はこのBL世界で悪役をやっている、咲洲棗です。 俺には前世の記憶っていうのがあって、前世では腐男子高校生だった。腐男子友達もいてそれなりに楽しく過ごしていたら、突然交通事故に遭って死んでしまった。 正直前世への未練はありすぎて困るほどだ。まだ大好きな商業漫画の連載は終わっていないし、オフ会にも行く予定だった。 それでもこんなに元気にやってこれているのは、この世界が俺が前世どハマりしていたBLゲームだったからだ。そして俺はそのBLゲームの悪役に転生した。 ゲームでの咲洲棗はとにかく今ベッドの上で踊っている末っ子をいじめ抜く。それもいろいろな手を使って。 俺はゲームの咲洲棗ほど酷くはないが、末っ子総受けを目指してそれはもう嫌という程いじめた。会う度に嫌味は言ったし転ばせたりもした。 心は痛むが全ては総受けのためだ。 許せ、サスケ。 そしてこの度やっと実を結びました。ただいま兄弟たちは絶賛水揚げ中。おめでとう自分!!ありがとう世界!! ちなみに俺は兄弟にすごく嫌われている。まあ自分の溺愛する人が虐められれば誰だって嫌だし気持ちはわかる。 そんな俺の推しである兄弟たちをご紹介しましょう。 ただいま末っ子のバージンを奪った長男は咲洲葵。 一番人気を誇るキャラクターで、俺様だがよく相手のことを見ているしっかりもののお兄ちゃんという感じ。切れ長目の黒髪碧眼イケメンで、ガタイもよく良い身体をしている。 ゲームでは、咲洲家の嫡子としてのプレッシャーで思い悩んでいた時に、末っ子に 「僕、たくさん勉強してあおにぃの役に立ちたい」「あおにぃはひとりじゃないよ」 「あおにぃが僕を守ってくれるなら、僕があおにぃを守るよ」なんて言われて惚れていた。 続いて、長男にぶち込まれた末っ子を見て興奮し、自分の一物を末っ子の口に入れている次男は咲洲滴。 腹黒で、末っ子以外に全く興味を持たない変態だ。そして少し危ない思考の持ち主で、ゲーム内で末っ子を拘束するシーンもあったりした。ぷまい。 容姿は猫目で唇は薄く、鼻が高い。ミルクティー色の髪は少しくせっ毛で本人は気にしているようだ。 ゲームでは、生まれたての末っ子を見て一目惚れし、それからずっと末っ子のことだけを想っている。その執着にはさすがに引いてしまうが、一途でヤンデレなので人気もある。 そして最後に我が最推しの末っ子、咲洲柚。 心が本当に綺麗で優しく、俺がいじめても兄弟だと思ってくれている。国宝認定されるべき。 長男と次男が俺に嫌味を言ってきた時も 「なつにぃにもきっと理由があるんだよ」 「僕が悪いから!なつにぃを怒らないで」なんて言って二人の怒りを鎮めた。 はぁん、なつにぃは惚れちまったよ馬鹿野郎。 容姿はくりくりな赤い目に黒髪。唇はふっくら柔らかそうで、笑顔はクリティカルキュート。八重歯が覗く感じが堪らない、我が最推しが可愛すぎて辛い。 そんなキュートな顔に似合わず、少し筋肉はついている。その筋肉は顔とは合わないけれど健康でお兄ちゃんは良いと思います。 そんな三人が織り成すBLゲームが最高でないわけがない。高スペックな俺という悪役もいるんだぞ? あ、説明してたらもう長男がイキそうになってる。長男は顔を赤く染めて少し息を荒げている。いつも余裕そうな人が必死に腰振ってるの萌える。 次男は末っ子の口に自分の精液をぶちまけて、ネチョネチョとキスをしている。 末っ子はキスをされているため、喘ぐことが出来ないのか「んー、…っンんッッ……」と言っている。 そしてついに、末っ子の中に長男の精液がぶちまけられる。長男は最後の一滴まで残さず入れようと押し付けている。 末っ子は足をギュッとして目をつぶり、長男にしがみつく。 しかし、末っ子はイッていない。確かに勃っていたし、今も元気そうだ。どうしてだろうか。 「……はぁ…。……準備運動は終わりかな」 そう口を開けたのは末っ子だった。なるほど、初Hというのに今の激しいのが準備運動とは我が最推しは遅漏か。それでも一生ついていきます。 「そろそろいいんじゃないか?」 「そうだね、もう僕も我慢できない」 長男、次男と末っ子の言葉に同意していく。これから第二ラウンド、いや第一ラウンドが始まるってことか。よし、俺のカメラの準備も整ってますよ! 俺がカメラを構えた時、ぺたぺたと足音が聞こえた。なんだろうとカメラを下ろして、覗こうとした瞬間、クローゼットの扉が開いた。 「……え?」 「ふふ……そんな驚いた顔して、本当になつにぃは可愛いね。ほら、おいで」 末っ子にグイッと引っ張られてあれよあれよと腕の中。長男と次男も近づいてくる。兄たちよ、早くこの可愛い天使を止めておくれ。 そんな俺の願いなど届くはずもなく、二人はむしろ加担してきた。長男は俺の着ていたシャツをビリビリに破く。次男は俺の顔にキスを落としてくる。 全く状況が読めない。第一ラウンドは?ってかいつから気づいてた?今まであんなに汚物でも見るような目を俺に向けていた長男と次男はなぜ愛おしそうに俺を見る? 「さぁ、なつにぃ。第一ラウンドを始めようか」
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