第2章

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     隆尋がすみれに手を差し出す。 「俺が雅咲に財布を渡しておくよ」という意味ではない。 「いつまでも雅咲の財布に触っているな」という、嫉妬心と独占欲丸出しの闘争心だ。 「はい、財布」 「サンキュ。雅咲に渡しとく」  すみれから財布を受け取ると、もうここに用は無いとばかりに隆尋は啓輔とすみれを思いやりながらも、厄介払いされるように自ら仕向ける。 「今は、すみれの傍にいてやれよ」 「ああ、そうする」 「俺は、雅咲を……」  雅咲の……、 「追いかける」  傍にいたい。     
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