第2章

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     一刻も早く雅咲の所に行きたい隆尋にとって、ここで立ち止まる事は大きな時間の浪費だ。  また雅咲と一緒に肩を並べて廊下を歩き、自分の歩調と雅咲の歩調を合わせたいと思っている隆尋は、雅咲の足音がまだ学校内に響くうちにこの場所から退散しようとする。 「じゃあ、また明日な」 「さよなら」ではなく「また明日」  さりげない挨拶も、何気なく発した一言も、今まで自然に交わしてきた次会う約束も、いつまで続くのか分からない。いつまでも続いてほしい。  啓輔は立ち去ろうとするその友人の背中に叫んだ。 「隆尋!」  隆尋が振り向いた時には、啓輔は隆尋のすぐ傍まで走り寄って来ていた。 「オレ、不安なんだ!」  啓輔が隆尋を呼び止めたのは教室での出来事を口外されるのではないかという口止めのお願いをするためではない。  啓輔の不安はそこではない。     
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