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「隆尋も雅咲も、すみれも詩帆も同じ高校に行くのに、オレだけ違う高校だ」
別々に進んで行く未来。
自分だけが孤立するのではないのかという恐怖心。
ずっと拭いきれなかった、啓輔の心の闇。
「すみれが……、オレの知らない男と親しくなるかもしれない」
すみれが啓輔に近付く。啓輔はそれに気がつかない。
「オレだって、ずっとすみれを好きでいたい! でも……ずっと好きでいられる保証なんてどこにもない。新しい出会いに目移りしないとはかぎらない」
これは啓輔だけではなく、隆尋とすみれにも言える事だ。
〔 永遠の愛 〕なんて、お伽噺の王子様と王女様だけに用意された究極のハッピーエンドだ。
現実世界の恋物語では通用しないだろう。
「それで、気持ちだけがあせっちゃって……教室で、その……」
啓輔は隆尋に、隆尋だけに聞いてもらいたくて話しているつもりなのだが、後ろにいるすみれにも丸聞こえだ。
すみれも永遠に啓輔を好きでいるなどと軽々しく誓えない。
だけど、啓輔もすみれも今の気持ちを大切にしていることは紛れもなく本物なのだ。
遊びではない。ただの思い出作りではない。
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