第2章

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     方向は違えど、隆尋は啓輔の恋の悩みに共感している。  そんな隆尋が顎を下げて言う。 「啓輔って案外一途なんだな。見直した」 「何だよそれ。オレはすっげー一途だよ」  すみれへの一途な愛情を語りかける啓輔は、まるで恋慕な俳句を朗読する詩人のようだ。  隆尋がすみれがすぐ後ろにいる事を啓輔に教えると、 「そういう事はもっと早く言えよな!」  と言って、啓輔は赤面させた。  隆尋から嫉妬心が消えて、啓輔とすみれの恋を応援して、友情継続の願いが告げられる。 「中学卒業してもさ、会おうな」 「うん、会おう」  嬉しそうに返答する啓輔の隣には、すみれがいる。  制服は変わっても、少年少女時代の想いと関係は変わりませんように。  隆尋は雅咲との関係を友情以上に進展させたいと願う反面、疎遠や不仲になる可能性の恐怖心とも戦っていた。       
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