第2章

12/15
前へ
/38ページ
次へ
     隆尋は廊下ではなく教室内で、啓輔とすみれが帰り支度を終えるまで待っていた。一人走り去った雅咲の事を忘れた訳ではないが、啓輔とすみれを後回しにも出来ないでいた。  友達に順位はつけられない。  啓輔とすみれも恋人中心にはしない。友達をおろそかにはしない。 「なあ、今日この後、皆でどっか遊びに行かないか?」  啓輔からの誘いに、 「うん。行きたい!」  と、すみれは明るく賛成したが、隆尋はイタズラっ子の表情で啓輔とすみれを茶化しはじめる。 「すみれと〝続き〟をしなくて良いのかよ?」  すみれは隆尋の冗談を真に受けて俯いてしまい、赤面して黙りこんでしまったが、啓輔は得意気になって受け答えた。 「〝続き〟は邪魔の入らない場所でするよ」 「おー、おー。そうですか」  先程は重苦しかった教室内も、今は和気あいあいとした談話室のようになっている。       
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

247人が本棚に入れています
本棚に追加