第2章

14/15
前へ
/38ページ
次へ
    「詩帆、今すぐ学校まで来るってさ。校門前で会う約束した」  詩帆に電話をした啓輔が仲良しメンバー勢揃いが決定された事を意気揚々と伝える。  毎朝、チャイムと同時に朝の教室に滑り込みセーフでやって来る、元気いっぱいの浜寺(はまでら)詩帆(しほ)。  チャイムの音はただの飾りにすぎない。  教室内に降り注ぐ陽光と共に、詩帆の騒がしい駆け込みで朝のホームルームが始まるようなものだ。  すみれと違い、寝癖も身だしなみも全く気にしないボブショートがよく似合う男勝りな詩帆は、華やかにお洒落をするよりも常に食い気優先で、スカートを嫌い、セーラー服よりもジャージ姿を好む。  この後、校門前に到着した詩帆がどんな格好でやって来るのかは誰にも分からない。  分からないけれど、自転車にまたがり、その持ち前の天真爛漫さで、まだ開花していない桜を満開にさせるのだろう。      
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

245人が本棚に入れています
本棚に追加