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啓輔とすみれは詩帆と待ち合わせをした校門へと向かって歩き出す。
隆尋は雅咲を探しにトイレへと向かって歩き始める。
校門に向かって足を進める啓輔とすみれが手を繋いでいる事は、目で確認しなくても反対方向に歩いている隆尋には分かっていた。
隆尋自身が求める手の居場所は、隆尋を一番動揺させて、隆尋に一番優しくされて、隆尋が一番愛する人だ。
見つけたら、捕まえたら、その人の手を絶対に離さない。
鍵のかけられた小さな箱には、『雅咲』という名前の愛しい人がうずくまり、心にも鍵をかけてしまった。
救いに来てよ。
救いに行くよ。
待ってる。
待ってて。
一人には、なりたくない。
一人には、させない。
啓輔の言うとおり高校に入学する前に、目移りされる前に、自分だけに意識を集中させるために、隆尋は鍵のかかった個室目指して一目散に走り出した。
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