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「雅咲、そこにいるんだろ?」
隆尋から名前を呼ばれても、今は変な意固地が邪魔をしてしまい雅咲は知らん顔をして返事一つしない。
そんな自分に嫌気が差した雅咲は下唇を噛み締める。
「雅咲、一生そこにいるつもりか?」
黙っている雅咲に隆尋は容赦なく、聞き分けのない我儘な子供を叱りつけるように厳しめの口調で、再度、雅咲に呼びかける。
これは雅咲が出てくるまで、一生この場所から動かないという隆尋なりの頑固な信念だ。
すでに〝処理〟は終わっていたが、雅咲はこの場所から出て行くタイミングが分からないでいる。
家のトイレや自室だったらまだしも、学校のトイレでだなんて……。
それを言ったら、啓輔とすみれも学校の教室で……となるのだから、雅咲だけが恥ずかしがる理由はどこにもない。
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