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「ちょっ……ッ! ちょっと待って! いきなり!?」
突然近付いてきた隆尋の顔に雅咲はあわてふためく。
ここまできて、それはないだろうとばかりに隆尋は不貞腐れながら雅咲に詰め寄る。
「いきなりじゃない。俺はもう、かなり前から雅咲にキスしたいと思ってた」
「かなり前って……いつからそう思っていたの?」
「さあ? もう忘れちゃった。あまりに昔のことすぎて」
隆尋にとっては、今がまさに幸せ絶頂の記念すべき瞬間なのだ。
過去は見ない。未来しか見ない。
今ここには、過去の隆尋と雅咲はどこにも存在していない。
「隆尋は、おれとキスしたいの?」
「うん、したい」
「いつまで?」
「いつまでも」
隆尋からの告白で明確になったにもかかわらず、雅咲は何を理由にして頭を悩ましているのか、なかなか口づけの許可をくれずに返事を引き延ばす。
雅咲はよくこうやって隆尋を煽り、振り回す。
無自覚でやっているとしたら末恐ろしい。
おそらくは、無自覚なのだろう。
作戦でやっていたほうがまだ可愛い。
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