第15章

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         「糢袈は学校ではどんなかんじ?」  糢袈は学校生活での事を家族に話したがらない。  糢袈の病気の事は学校側には伝えてあるが、それは一部の教員達しか知らない。  糢袈が孤立しているのではないかと、歩帆は心配しているのだ。  そんな歩帆の心情を読み取った弥生は、 「僕はモカと出会えた事をとても嬉しく思っているし、モカには感謝しているんです。モカがいるから、僕は学校に通うのが楽しいです」  と言って、歩帆の不安要素を取り除こうとする。  そんなふうに糢袈を必要としてくれる弥生に感激した歩帆は、さすがにもう玄関で追い返すのは失礼極まりないと思った。 「糢袈に会ってみる?」  おっとりとした口調で歩帆が言う。歩帆は切なそうな瞳で階段の奥を見上げている。  予想もしていなかった嬉しすぎる言葉に弥生は瞬きを繰り返す。 「会いたいです。でも……」  初露が……という言葉を弥生は飲み込んだ。  そんな弥生の気持ちを察したのか、目尻を弛ませた歩帆が微笑みかける。 「初露の事は気にしなくて大丈夫よ。私が上手く説得するから」  柔和な微笑みを崩さないまま、歩帆は穏やかに言った。  歩帆に促されて弥生は戸惑いつつも、糢袈に会いたいという気持ちには勝てなくて「お邪魔します」と礼儀正しく言うと靴を脱いだ。       
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