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大通りに出ると信号機が増えて、自動車も増えて、並んだ高いビルの列が何メートルも続く。
あの落ち着いた喫茶店に戻りたいと、糢袈の歩調がおぼつかない。
歩くのは嫌いではない。
ただ、この雑音と排気ガスまみれな雑踏が息苦しい。
糢袈からしてみたら、こういった場所は心労を何倍にも膨れ上がらせてしまうのだ。
ふと何気なく横を見れば、旅行会社が貼り出している南国の広告ポスターが糢袈の視界に入った。
糢袈はそのポスターに突撃したら南国へ行けるのではないのかと、そんな四次元的な思考力を活性化させていた。
それもこれも、コンクリートの道とコンクリートの建物に板挟みされているせいだ。
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