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糢袈が永倉の隣ではなく、永倉の後ろに隠れるようにして歩く。
糢袈は後ろから永倉を観察する。
永倉の髪は細く痛みやすそうで、頭を少し動かしただけでもサラリと靡き、実際に触れてはいなくても、絹糸のような触り心地なのだという事は容易に想像出来た。
糢袈の髪はフワフワしており、毛先は丸まったふうに絡まり、軽くパーマをかけているように見える癖っ毛だ。
糢袈は自分自身の髪の毛先を指先で摘まんでみる。
とてもではないが、サラリとした触感という感想はでてこない。
制服が似合いすぎて、かっこ良い。高身長で羨ましい。嫌味のない、素直な性格に憧れる。
糢袈は永倉に対して素直にそう思う。
永倉が糢袈に執着するように、満員電車で目が合った時から、糢袈も永倉に執着していた。
糢袈は、どこかしら永倉弥生を意識しつつある。
意識させるように仕向けられている気がしてならない。
それもそのはずだ。
今の糢袈の心には、乙女じみた願いが住み着いている。
永倉の髪に、触りたい。
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