3人が本棚に入れています
本棚に追加
それから数か月経った今、冴子は刑務所に服役中の義雄に会いに行く。別に何を期待しているでもなく、ただの暇つぶしに。刑務所の中を見てみたかった。
「何で刑務所なんかに入ったの? 黙ってればばれるはずないのに」
冴子はその事がただ疑問だった。
「お前のためだよ」
「え?」
自分のためだとかそんな事言う人間は信用できない。今までそうやって生きてきた。
「お前はこの世に真実なんか何もないと思ってるだろ? だけどそれは違う。俺が証明してやる。俺がここを出る時まで、信じて待っててくれたら」
何を言ってるのかわからない。
「一緒に暮らそう」
「何言ってるの?」
冴子は今でも義雄の言った言葉の意味を考えている。
「いつかお前に本当の事を教えてやるよ」
最初のコメントを投稿しよう!