幼き2人に、朱(あか)と姫

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1. …僕は、強くない。 身体つきが少しぽっちゃりしてたから動きは鈍いし、口下手だったから何か話す時は(ども)り気味。そんな僕がイジメのターゲットにされるのは自然の流れだと言ってもいい。 喧嘩をしても痣だらけ、勝てることなんて滅多になかったから、普段はいじめられても黙ってされるがままになっている。抵抗しなければ、それだけ早く飽きられて終わることを知っていたからだ。 ある日、僕をイジメるグループが1人の女の子を囲んで嫌がらせをしていた。 ポニーテールがよく似合うその娘は、目に涙をいっぱい溜めていた。何でそんなことになっていたのかは、よく分からない。 ただ、自分がイジメられるならまだしも、誰かがイジメられるのを見るのは嫌だった。
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