祖父は写真を撮りたかった

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 東京から新幹線で二時間、そこから乗り換えをして鈍行列車で一時間。  私は榎台駅で降りた。  ドアが開くと冷たい風が私に襲いかかってきた。その寒さに思わず身震いをする。  駅のホームの端には雪が積もっていた。  改札口を抜けると整備されたバスロータリーがあった。ここ数年で駅舎を建て直しただけあって、とてもキレイだ。 「真希奈(まきな)」  誰かに名前を呼ばれた。声の方向には従兄弟の直登(なおと)が立っていた。 「直登」  直登は私より八つも年上だが、幼い頃からの仲なので呼び捨てをしている。  私が彼に駆け寄ると「遠くまでありがとな」と言った。そして、私の持っていた大きなショルダーバッグを持った。 「重いよ?」 「これぐらいなら平気だよ。あ、車、こっちな」  直登は駐車場を指差した。  そのまま付いていくと、黒い車の前で立ち止まった。この車が直登の車なのだろう。 「寒いから早く乗りな」  鍵が開く音が聞こえたので、私は助手席のドアを開けて車に乗った。直登は私の荷物を後部座席に置いていた。置き終わると運転席へ乗り込んだ。  私はそんな直登を見ながら、状況を聞くタイミングを探った。この話題をいきなり切り出すべき話題なのか自分でもわからない。  私自身。まだ現実ではないような、そんな気がしていた。それでも聞かなければ、今から何をしにいくのかもモヤモヤしたままになってしまう。  確認しなければいけない。  おじいちゃんは本当に死んでしまったのか、と。
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