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・しずむ。
レンナは、よく笑った。
いつだって、本当に、楽しそうだった。
明るい性格で、誰とでも分け隔てなく接する彼女は印象も良くて、そんな彼女がクラスに馴染むのに、それほど時間はかからなかったように思う。
ただ、それ以上に、みんな彼女という存在そのものに、興味を持っていたのだ。
――彼女は、『何』なのか?
口には出さなくとも、クラスの中のほぼ全員が、そこここで彼女の言動に対してアンテナを立て、そわそわとしているのが分かった。
もちろん、俺自身もその例外ではない。
授業中など、ふと気づくと俺は彼女の事を目で追っていたし、休み時間などは積極的に彼女との接触を試み、遊びの輪に取り込もうとした。
――ただ。そんな日々を何日も何ヶ月も繰り返す内、次第に俺は、レンナが人間だとか人間じゃないとか、そういった事が大して気にならなくなっていった。
多分、他のみんなも同じような気持ちだったと思う。
もちろん、クラスの全員が、とまでは言わないが、少なくとも廻りにいた連中の大半が彼女の事を仲間として、友人として、受け入れていたはずだ。
――けれど、俺は知っている。
季節を少しずつ重ねる中で。
みんなとの距離が、少しずつ縮まっていく度に――レンナはあの頃のように、以前のように、あまり楽しそうに笑わなくなったのだ。
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