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平穏な海を眺めてた。あの赤い海を。
手元の写真と見比べながら、君が足跡をつけた砂浜に足を投げたして波の音を聞いていた。
そして気づいたんだ。
あの赤い塊は僕自身が練り上げた、誠実に偽りない心でアイツに死ねと願って練って磨いて。地中に掘った穴に丁寧に埋めていたつもりの憤怒。
あの赤い光は僕が産んだ光。
決して君へ向けた呪いではなかった。
君と共に生きていきたい一心だった。
けれど最愛の君は、そんな僕のどうしようもない感情まで引き受けてくれた。
僕が誰かを殺してしまう前に、君は僕の醜い憎しみすらも笑って飲み下してしまった。大丈夫だと微笑みながら。
愛も、寂しさも、憎しみも、楽しさも、愛おしさも全部全部。
そして君はいなくなった。
君が残した蒼い光が浮かぶ写真。
黄色い光が浮かぶ写真。
赤い光が浮かぶ写真。
全部を通して流れてくる君の気配。
呪い。
愛する人を失ってでも呪い殺したい奴などいるものか。
人を呪わば穴二つ。笑わす。んなぬるくねぇ。
自分が死ぬよか辛い結果がきっとまってる。
人を呪わば――――
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