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黄色い光が浮かぶ海。
そこには精霊が波の上ではじけながら踊っている。
蒼い光が浮かぶ海。
波遊びを楽しむ君を見て、君を守る光が共に遊んでいる海。
赤い光が浮かぶ海。
そこには朝日にも夕日にも溶け込めない程の真っ赤な真っ赤な激情が巣くう海。
君を食べた赤い海。
あの日、いつものように日の出まじかの海の写真を送ってきたね。寝ぼけてた僕は返信するのがやっとで。昼前に慌ててその海から上がれと電話をしたのに。半年前にもその海には長居するなと言ったのに。
君は胡散臭い顔をするだけで、大丈夫だと笑って飛び込んで行った。
赤い光が浮かぶ海。
君を飲み込んだ赤い海。
君の血で染まった赤い海。
赤い赤い赤い光。海に巣くう赤い光。それは呪いの光。誰かへ向けた憤怒の塊。練って練って、丹精込めて練り上げた。頼むから死んでくれと誰かへ向けた怒りの想い。
君を食べた赤い海。あの日の写真にもやっぱり浮かんでた赤い赤い赤い光。
君を永遠に僕から遠ざけた赤い海。
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