副主将の瞳避けながら

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でもなぁ〜慶司の住む所は、会社の借り上げマンションで、同期の城島もいる。 同じ2階だ。 無理か〜 うーんと考えながら、面をつける。 目の前の風景は、その城島が、乾さんに上段崩され、諸手突きをまともに喰らって吹っ飛ぶそんな様子で……。 「あぁぁぁッ!クソっ! 乾さんッ!まだまだだっ!」 タフなのか?なんなのか? 城島は、すぐに身を起こして立ち上がる。 中段から上段へ構える。 気持ちが切れてない! それがわかるのは、ぐっと前へ体重かけた前の足。 城島は、2度目の乾さんとの稽古の中で、今度は崩されないぞ! そう思わせる堂々たる諸手左上段を構える。 それに伴い、気合いが入り…咆哮すらも変わる。 おっ?すごいじゃん 面紐を締め、後頭部で結わきながら 我が同期の姿を面金の物見から眺める。 その姿は本当に気合いに満ち溢れてるけど さすがは 『強豪・S高!』 そう言いたくなるけど……。 かつての強豪校出身の二度もインターハイ王者、そして…… 全国のP○○ー○○es㈱グループ剣道部! その頂点の覇者・乾さんには たかが、去年まで高校生だった奴の 剣道は…通じなかった。 「よかったぞ城島…… 次ッ!真鍋ッ来いっ!」 乾さんの呼び掛けが体育館に響き、 同時に、城島と真鍋くんの返事が響いた。 今月末の予選会。 まずは、Mother・F剣道部の代表にならないといけない。 乾さんには確か、グループ史上初の五連覇がかかってるはずだ。 どんな相手であろうとも変わらぬ強さ。 それができるのは日々の稽古。 あれだけ気合い入ってるから たぶん、たぶんなんだけど…… 箱根旅行からの帰りの私と慶司の行動 気にしてる様子はないだろう。 ……なーんて、呑気に私は考えていた。
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