副主将の瞳避けながら

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我らが剣道部のエース! 『乾 祐也』 彼が私達、新人部員達のテーブルにいることは、とても嬉しいことなんだよね。 同期達は緊張しながら、実業団選手として聞きたいことをエースにぶつけてる。 乾さんは、それを真摯に受け止め答えていく。 食事をしながら、飲みながら、時には手を止めて、その答えに感心したり納得したり、質問の内容によっては、時には凹んだり 特に男子達はしていた。 その中で、 「――どうして乾さんは、全日本選手権狙わないんですか? 出場資格、去年(1990年)に五段以上に緩和されたから…予選会出れるでしょ?」 WEST・Fの真鍋くんのこの質問。 確かに、去年から五段以上に緩和されてる 父さん(六段)も―― 「若い剣士にもチャンス増えたなぁ 乾が東京都予選に出りゃ、警視庁の連中を蹴散らして凄く面白いだろうな…」 そう笑っていたっけ それに対して乾さんは 「狙う気は…無い」 そう言い切った。 「ついでに…五段も取ってないよね 祐也ァァァ〜♪ オレと一緒にでさッ♪」 石野さんが、補うように言って そのたくましい背中に、ベッタリと抱きつく。 「――鬱陶しいぞ春樹(石野)… お前は、めんどくさいからと4年前 審査申し込みしなかったろ?」 「へへっ♪」 ンべ♪と舌を出す表情は、ちょっと子供みたいに見えてなんか、パートのおば…マダムキラー、そう言われるのも頷ける。 「祐也、五段取ってないんだよね…って 大学卒業したら、すぐにさ… 仕事の方の資格取得ばかり、あの時しててさ 昇段審査…申し込みすらしてないんだよ」 こう教えてくれた。 交代勤務者の制度を使って 大学で何かの勉強していたのは 小六の時に久しぶりに会った時に知っていた。 けど、五段審査を受けてないのは初耳。 初段から、順当に行けば22歳で五段審査。 現在、26歳だから来年には六段審査のはず……。 だけど、乾さんは… 「試合の勝利も昇段審査も 努力の結果であって… 褒美みたいなもんだから…」 なんて言っちゃって 私達新人部員をいや、私を除いた部員達を 痺れさせ…さらに憧れの剣士度を高めた。 「ははっ♪そんなかっこいい事言っちゃって 祐也ってば、ALL・P○○‐○○esの 五連覇…狙ってるくせにぃ〜♪ 祐也ァ♪恥ずかしがり屋さんッ♪」 石野さんは、「春樹!鬱陶しい!」 そう怒られながらもベッタリ。 仲良しなんだなぁ。 ちなみに、同じようにこの制度使った 乾さんの剣道部の同期達。 山本さん、石野さん、鈴木さん、川島さん この4人も取ってない。 それを聞いていた渡辺さん含めた さらに歳上の先輩達は、 「そいつは初耳だ! 乾ッ!狙えよ!全日本選手権! グループの全国大会連覇出来んだからよ 来春でいいから五段審査、さっさと受かって…よゆーだろ? 警視庁蹴散らして来いよ!」 そんな声に、静かに立ち上がり大先輩達のテーブルへ向かった。 「機会があれば…」 そう言って…適度にあしらっていた どちらにしても… 私から離れてくれてラッキー♪
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