240人が本棚に入れています
本棚に追加
我らが剣道部のエース!
『乾 祐也』
彼が私達、新人部員達のテーブルにいることは、とても嬉しいことなんだよね。
同期達は緊張しながら、実業団選手として聞きたいことをエースにぶつけてる。
乾さんは、それを真摯に受け止め答えていく。
食事をしながら、飲みながら、時には手を止めて、その答えに感心したり納得したり、質問の内容によっては、時には凹んだり
特に男子達はしていた。
その中で、
「――どうして乾さんは、全日本選手権狙わないんですか?
出場資格、去年(1990年)に五段以上に緩和されたから…予選会出れるでしょ?」
WEST・Fの真鍋くんのこの質問。
確かに、去年から五段以上に緩和されてる
父さん(六段)も――
「若い剣士にもチャンス増えたなぁ
乾が東京都予選に出りゃ、警視庁の連中を蹴散らして凄く面白いだろうな…」
そう笑っていたっけ
それに対して乾さんは
「狙う気は…無い」
そう言い切った。
「ついでに…五段も取ってないよね
祐也ァァァ〜♪
オレと一緒にでさッ♪」
石野さんが、補うように言って
そのたくましい背中に、ベッタリと抱きつく。
「――鬱陶しいぞ春樹(石野)…
お前は、めんどくさいからと4年前
審査申し込みしなかったろ?」
「へへっ♪」
ンべ♪と舌を出す表情は、ちょっと子供みたいに見えてなんか、パートのおば…マダムキラー、そう言われるのも頷ける。
「祐也、五段取ってないんだよね…って
大学卒業したら、すぐにさ…
仕事の方の資格取得ばかり、あの時しててさ
昇段審査…申し込みすらしてないんだよ」
こう教えてくれた。
交代勤務者の制度を使って
大学で何かの勉強していたのは
小六の時に久しぶりに会った時に知っていた。
けど、五段審査を受けてないのは初耳。
初段から、順当に行けば22歳で五段審査。
現在、26歳だから来年には六段審査のはず……。
だけど、乾さんは…
「試合の勝利も昇段審査も
努力の結果であって…
褒美みたいなもんだから…」
なんて言っちゃって
私達新人部員をいや、私を除いた部員達を
痺れさせ…さらに憧れの剣士度を高めた。
「ははっ♪そんなかっこいい事言っちゃって
祐也ってば、ALL・P○○‐○○esの
五連覇…狙ってるくせにぃ〜♪
祐也ァ♪恥ずかしがり屋さんッ♪」
石野さんは、「春樹!鬱陶しい!」
そう怒られながらもベッタリ。
仲良しなんだなぁ。
ちなみに、同じようにこの制度使った
乾さんの剣道部の同期達。
山本さん、石野さん、鈴木さん、川島さん
この4人も取ってない。
それを聞いていた渡辺さん含めた
さらに歳上の先輩達は、
「そいつは初耳だ!
乾ッ!狙えよ!全日本選手権!
グループの全国大会連覇出来んだからよ
来春でいいから五段審査、さっさと受かって…よゆーだろ?
警視庁蹴散らして来いよ!」
そんな声に、静かに立ち上がり大先輩達のテーブルへ向かった。
「機会があれば…」
そう言って…適度にあしらっていた
どちらにしても…
私から離れてくれてラッキー♪
最初のコメントを投稿しよう!