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キッチンに行くと……、ふわっと温かな味噌汁の香りが鼻をくすぐる。
毎年冬になると仕込む味噌と、鰹と昆布の合わせ出汁が混じりあった香り……。
大好きな美味しい香り。
「食べるでしょ?」
母さんに聞かれて頷くと、たちまち並べられるのは白飯には嬉しいおかず達。
卵焼きに、鮭の味噌漬け焼きに……色々煮物もある。
それから、きゅうりと大根、人参にキャベツは、彩り鮮やかな漬物二種。
ぬか漬けと、浅漬けだ。
今朝の味噌汁は珍しくシンプル。
ワカメと豆腐!大好き♡
「響ちゃんがいない間、ヌカちゃんかき混ぜていたわよ」
そう母さんが言うのは、今朝のぬか漬けのぬか床は私のだから。
東北の母さんの実家に、ふらりと遊びに行った時、分けてもらった物だ。
母さんが持ってきたのもあるけど、私も自分の欲しくなって貰ってきて育ててる。
昆布に鷹の爪に山椒の実に陳皮に辛子…
様々なものを足して独特の風味が特徴なんだけど、この辺は母娘で微妙に違う。
塩分濃度とかも同じなのに……。
元々山口家にはぬか漬け作る習慣なくて
どちらかといえば浅漬けが主流
「うん、美味しい〜♪」
パリッと歯で噛み切るぬか漬けきゅうり。
変わらず安定の美味しさ。
キャベツと人参は昆布で浅漬けだ。
ちょっと京都で食べたのに見た目も味も似てる。
やはり安定の美味しさ♪
さて、メインの香ばしい鮭の味噌漬け……。
カリッと歯に心地よくその身は味噌の風味と相まってたまらない!ご飯が進む味!
甘めの卵焼きは一口大に取ってぱくりとすると甘さとダシの風味があぁ…やばい…。
きんぴらごぼうに…冷たいナスの煮びたし…
おいしい味の連チャン!
たまらない!
本当においしいおうちのご飯♡
あまりにも盛り上がった気分を落ち着けるのは、いつものお茶。
藍で桜の花を描いた湯呑みに注がれた熱いお茶を飲んで落ちついた。
慶司の家の帰り道、コンビニのおむすび食べたけど……やはり、家の味にはかなわない。
ホッとしてる私見て、母さんは相変わらずの笑顔だった。
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